電磁ナビゲーション気管支鏡を用いたVAL-MAP

電磁誘導気管支鏡は、CT画像データを基に3D仮想気管支鏡画像生成し、ターゲット(病変、またはマーキング目的箇所)までの経路をプランニングしたうえで、患者の胸部を電磁場中に位置させ,磁気センサを備えたカテーテルを気管支鏡に挿入、肺末梢部でリアルタイムに位置を表示して,ターゲット近傍まで正確に誘導するシステムです。アメリカのFDAでは2004年に承認され、世界中で広く使用されています。
日本国内では2016年にコヴィディエン ジャパンの「superDimension™ ナビゲーションシステム」が薬事承認を取得しましたが、これは生検(TBLB)に目的が限定されたものでした。2020年12月23日付で、ついに使用目的が拡大され、「本品は、観察用の機械器具又は内視鏡用処置具を気管、気管支及び肺組織へ誘導する支援のために気管及び気管支の画像を表示する」となりました。つまり、今まで気管支鏡肺生検のみに紐付けられていた使用目的が、「ナビゲーションアクセスを提供するもの」と変更され、ナビゲーション後に行う処置とは直接紐付かないようになりますので、superDimensionのナビゲーション機能を用いてVAL-MAPを実施することが、保険診療の範囲内で可能となりました。
東京大学では、このsuperDimensionを用い、また独自に開発したon-site adjustment法を併用することで、全身麻酔導入後にVAL-MAPから手術までをCTを用いずに一期的に行う方法を開発し、臨床研究の結果を下記に発表しました。本研究の詳細はこちらをご覧ください。
電磁ナビゲーション気管支鏡を用いたVAL-MAPは、手術室に備え付けのCTがない施設でも全身麻酔下・一期的にVAL-MAPから手術までを完遂することができ、患者さんの身体的負担を減らせる画期的な方法であり、当方としては、今後もその普及に向けて取り組んでいきたいと考えています。