聖路加国際病院におけるVAL-MAPの取り組み
近年、CT等の画像診断の進歩に伴い、末梢肺に微小病変が発見されるケースが増えています。病変が小さいうちに発見され手術で摘出できることは、肺がんなどの早期発見・早期治療の点で大きな利点ですが、実際に手術を行うとなると、これらの病変は小さいがゆえに位置の確認が難しい場合が多いのも事実です。当院ではVAL-MAP法を積極的に導入し、より低侵襲な手術に取り組んでいます。
2014年1月に京都大学呼吸器外科より板東呼吸器センタ-長が着任して以来、当院では臨床試験の段階から先進医療の実施を経て、現在、実臨床でも継続してVAL-MAP法を実施し、2021年4月現在で250例に実施し、重篤な合併症は一例もみとめられておりません。

当院の特徴
- 内科と外科が常に合同のカンファレンスを行っており、同一病棟、同一外来ブースを使用して、一体となって診療している
- 当院の内科と外科の役割分担として、内視鏡の診断部門をほぼ全例内科が行っている関係で、内科と外科が協力してVAL-MAPを行っている
- 毎日内科が気管支鏡枠を持っており、施行しているため、手術日程に合わせて、常に前日に施行可能である
内科医からみたVAL-MAP
- マーキングの手技自体は、内視鏡デバイスでの胸膜の確認など、びまん性肺疾患のTBLBより容易な手技のため、慣れている内科医が行った方がよい面もある
- 内科の専攻医、スタッフが積極的に術前カンファレンスに参加する動機づけになり、手術適応などへの理解がすすむ
- VAL-MAP自体、先進性、低侵襲性という時代のトレンドを掴んでおり、それにかかわることで、内科専攻医の将来の科選択の宣伝材料になっているという副次的な波及効果もある


